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やっちの覚醒

雑記ブログです。

『閉鎖病棟』

閉鎖病棟 (新潮文庫)

閉鎖病棟 (新潮文庫)

帚木蓬生 著『閉鎖病棟』を読んだ。精神科病棟に入院する患者達の日常を、患者の視点で描いている。著者の帚木蓬生さんは現役の精神科医だそうで、なるほど納得な内容だった。この方の著書を読んだのは初めてだけれど、きっと患者のことをよく見てきたお医者さんなのだろうと思う。

この『閉鎖病棟』に登場する入院患者のほとんどは<精神分裂病>と書かれている。現在で言う統合失調症の事らしい。症状は様々だけれど、主に幻聴や妄想、それらの影響で奇怪な行動をとる。本人には病識がない事も多いけれど、客観的に見れば異常とみなされ、精神科病棟へ連れてこられる。


私にも統合失調症の家族がいる。今は症状も落ち着いているが、一時期は大変だった。一年ぐらい前は特に辛くて悩んでいた記憶がある。本人の苦しみを理解しようとせず、自分のことしか考えていなかった。今後の事はわからないけれど、最近は家族との関係について前向きに考えられるようになった。

閉鎖病棟』にも精神病患者を厄介者のようの扱う家族について書かれる場面があるが、かつての自分を思い出し反省した。
ストレスの多い社会から離脱された環境で、患者達は純粋に穏やかな生活を送っている。外の世界で上手くやれないのは、病気がそうさせただけで、本来の人間味はそう変わらない。とは言えどうしようもない人間がいるのも確かで、この物語の中でもある事件が起こる。そこからは何とも言えず悲しくて、救いを求めるように一気に読み進めた。上手く言えないけれど、切なくて優しい想いが繋いだ、人と人との絆に感動した。